
このページでは、私が実際に診た患者さんにどういった考え方で治療を行い、どういった経過を辿ったのかを出来るだけ詳しく説明しています。(治療の詳細に関しては説明しきれない部分もあります)
私にも治せない疾患は当然ありますが、ホームページでは治せた患者さんで他の方の参考になりそうな人を選んで解説しています。
痛む場所が同じであったとしても、患者さんによって細かい症状や痛む条件、改善の経過には差があって当然ですが、似たような症状をお持ちの人は是非参考にして下さいね。
大阪府茨木市から来られたTさんの症状
3年ほど前から右の腕が上がりにくく、1年前から左腕も上がりにくくなってきた。
左右の腕が両方とも上がりにくいという事で来院。
詳しく話をきくと、真正面には上がるが、後ろに手を動かすのと真横に上げるのが辛いとの事。
じっとしている時にはほとんど痛みも違和感もなし。
当院の治療
まず正直に言いますが、私はこういった「腕が上がらない」という症状を最も苦手にしています。
肩や腕が上がらないという症状の場合、肩の腱などを損傷して発生している可能性が高く、そういった損傷が改善しない限りは非常に改善が難しいからです。
また、この腱の損傷はよほどひどくならない限りMRIなどでも診断が難しく、専門医じゃないと見つけられないという特徴があります。
更に、手術をする必要のない軽症例であったとしても、腕を1ヶ月ほどきっちり固定しなければ安定して改善させる事は難しい疾患でもあります。
ただし、ほとんどの人は固定を嫌がりますので、とりあえず動きを邪魔している筋肉の緊張を治療でとってみて、経過を見てみないと治せるかどうかも全く分かりません。
こういった事を事前にこの患者さんにも説明して治療を開始しました。
治療の具体的な内容は、腕を持って少しずつゆっくり丁寧に動かしていきました。
腕の動きの大部分は肩甲骨の動きに依存しているので、肩甲骨の動きを邪魔している筋肉の緊張を腕を動かしながらゆっくり緩める作業です。
また、肩甲骨の動きは首の動きとも連動していますので、首も左右に動かしながらゆっくり肩甲骨の動きに関わっている筋肉の緊張を緩めていきました。
1回目の治療後には右も左もだいぶ腕が動かしやすくなり、その日の治療を終えました。
だいぶ症状は軽減しましたが、この良い状態が続くかどうかが腱の損傷の程度によって大きく異なります。
仕事の都合で1週間に1回しか来れない患者さんだったので、2回目の治療は1週間後。
1回目の治療後の経過は、右腕は治療後もある程度楽な状態が続いているが、左はすぐに元の状態に戻ってしまったとの事でした。
この経過から察するに、右肩は症状が出始めて3年ほど立っているので腱もだいぶ回復しているのだと判断。逆に左は腱の損傷具合があまり良くなく、固定しなければ難しいのでは?と感じました。
2回目の治療も1回目と同じように行い、その場の症状はどちらもだいぶ改善。
3回目に来られた時には、右肩の症状はほぼ消失。しかし左肩はやはり治療後にすぐに戻ったとの事。
その後、合計5回の治療を行いましたが、右肩の症状は取れたが左の症状は取れなかったので、おそらく難しいという事で治療を終了しました。
まとめ
肩の腱損傷の典型的な症状だったと思われる患者さんです。
動きの制限には筋肉の緊張も大きく関わっており、その動きを邪魔をしている筋肉の緊張を緩めればその場の症状が改善する事は珍しくありません。
しかし、腱の損傷が改善していなければ、またすぐに症状は再発してしまいます。
この患者さんの場合は、右肩に関しては腱損傷の重症度が低く治療後に症状が元に戻ることはありませんでしたが、左肩に関しては腱損傷のレベルが高く、その場で症状を改善してもすぐに症状が再発してしまいました。
おそらく、今後何回治療しても同じ事を繰り返すと思いましたので、途中で治療を打ち切りましたが、腱損傷の難しさはこういった部分にあります。
腱の損傷に関してはきっちりと固定をしないと回復しにくいため、治療だけではどうしても限界があるんですね。
かと言っても固定に関しては患者さんは嫌がりますので、個人的には非常に苦手な疾患の一つです。

















