ジャンパー膝や膝蓋腱炎でお悩みの人の話を聞いていると
「先生、私は肥満体型で体重が重いんですが、太りすぎがジャンパー膝や膝蓋腱炎の原因になる事ってあるんでしょうか?」
といった質問をいただく事があります。
実際に痩せている人に比べると体重が重い人の方が膝を痛めている事は多いので、ジャンパー膝や膝蓋腱炎にも関係あるのか疑問に思っている人もおられると思います。
そこでこのページでは、太りすぎたり、肥満や体重の重さがジャンパー膝や膝蓋腱炎に関係するのか?についての説明と、ジャンパー膝や膝蓋腱炎の原因動作について説明させていただきます。
ちなみに私は医療系の国家資格である柔道整復師という資格を持っている人間です(ここをクリックすると私の柔道整復師免許証の写真が出ます)
医療系の国家資格を持っている人間の端くれとして、出来るだけ丁寧で分かりやすい説明を心がけていますので、こういった事に興味のある人は是非参考にして下さいね。
スポンサーリンク
ジャンパー膝や膝蓋腱炎の原因動作や体重との関係
まずは結論を言わせてもらいますね。
残念ながら体重の増加とジャンパー膝や膝蓋腱炎など膝の痛みは非常に深く関わりがあります。
肥満や体重の増加によって膝に痛みが発生する理由は、大きく分けて次の2点になると思います。
一つは単純に体重の増加によって膝にかかる荷重が重くなった事です。
この理由は簡単で誰でも分かりますよね。
当たり前ですが、膝にかかる荷重が重ければ重いほど膝を痛めるリスクは高まります。
そういった事が長期間に渡り続けば、膝の組織を損傷してしまう訳ですね。
二つ目の理由は、体重の増加によるバランス能力の低下、重心位置の異常です。
膝の痛みというのは、当たり前ですが膝の関節にとって負担になるような動きが関わった時に発生します。
体重が増加してしまうと、その影響によってバランス能力が低下し、動作時の重心の位置が乱れて膝に負担のかかる様な動作になってしまう人がいます。
膝蓋腱炎やジャンパー膝は太ももの前面の大腿四頭筋という筋肉に過度の負担が加わり、大腿四頭筋や腱の部分に痛みが発生すると考えられています。
ちなみに腱とは筋肉が骨に付着している部分の事で、大腿四頭筋の腱は膝のお皿の真正面を覆うようにして付着しています。
(そのため、ジャンパー膝や膝蓋腱炎の痛みは太ももから膝のお皿周辺の真正面に発生しやすいんですね)
そしてジャンパー膝や膝蓋腱炎になる人の多くは、スポーツや運動などによって大腿四頭筋に過度に緊張させてしまう原因動作が存在しています。
原因動作というと分かりにくいと思いますが、極端な言い方をすれば膝に過度に負担をかける「悪いクセ」のようなものがスポーツや運動の中に隠れているんです。
こういった膝を痛めてしまうような「悪いクセ」は、極端に体重が重たい人の方が発生しやすい傾向があります。
体重が重いため、機敏な動きや細かい姿勢の制御が難しくなってしまう為です。
どんなに安静にして痛みを軽減させても、治療によって痛みを改善させたとしても、スポーツや運動の中に隠れている「悪いクセ」を治さない限りはスポーツや運動をするとすぐに再発してしまいます。
こういった事が、ジャンパー膝や膝蓋腱炎の完治が長引いてしまう理由です。
つまりその動作上の「悪いクセ」を改善しないと、ジャンパー膝や膝蓋腱炎の症状が完治する事は考えにくいんです。
逆に言えば、動作上の「悪いクセ」を改善すれば呆気ないほど簡単に完治する事も珍しくありません。
病院も含めて多くの治療院において、こういった「原因動作」に着目している所は非常に少なく、そういった部分もジャンパー膝や膝蓋腱炎の完治が遅れてしまう理由だと思います。
(かなり生意気な発言になっているかもしれませんが)
ジャンパー膝や膝蓋腱炎を発生させる具体的な原因動作
ここまでは、ジャンパー膝や膝蓋腱炎になる原因はスポーツや運動の中の動作上にある事が多く、そういった原因動作(悪いクセ)を改善しない限り完治は難しいという説明をさせていただきました。
そして体重が重い人の場合は、そういった原因動作が身体の重みのせいで発生しやすいという特徴を持っています。
さて当然、このページを読んでいる人の多くが具体的な動作の問題点を知りたいと願っていると思います。
しかし動作というのは非常に個人差が大きいため実際にその動作を見させて頂くか、映像を見させて頂かないと確定的な事は言えません。
ただし、今までの経験則である程度の傾向は説明する事は可能です。
そこでここからは、ジャンパー膝や膝蓋腱炎の原因動作として可能性の高い動作の説明をさせていただきます。
ジャンパー膝や膝蓋腱炎の原因として多い動作はざっくりと言えば主に次の2つです。
1 走り方が原因で発生している場合
もし走り方が原因でジャンパー膝や膝蓋腱炎になっているのであれば、走る時につま先や足で地面を蹴る意識が強すぎる事が原因になっている事が多い印象を持っています。
地面を蹴る意識が強すぎて太ももや膝がほとんど上がっていないんですね。
太ももを上げるという動きは、股関節を曲げるという動きでもあり、膝を曲げながら大きく太ももを上に上げるという動きは短距離を走る動きとしては非常に大事な要素になります。
しかし、つま先で足を蹴る意識が強すぎると、股関節と膝の関節が十分に曲がりにくくなってしまうため、地面からの圧力を吸収しきれずに膝への負担が大きくなってしまいます。
(関節は曲がる事によって地面からの衝撃をクッションのように吸収する役目がありますので)
また、太っている人の場合はどうしても身体の重みの影響で重心がつま先方向に偏ってしまい、太ももが上がりにくい傾向があります。
おそらく走り方が原因で発生しているジャンパー膝や膝蓋腱炎の人の中にも思い当たる人が多いのではないでしょうか?
もちろんその時の重心の位置、手の振り方、足の出し方などを修正しないと症状が軽減しない人も多いので簡単ではありませんが、心当たりがある人は是非参考にして下さいね。
2 踏み込んだ時などに重心が後ろに偏りすぎている場合
ジャンパー膝や膝蓋腱炎を発生させている場合、まずは走り方などを確認する事が多いのですが、走り方に大きな問題が無い場合は片足に大きく踏み込んだ時に重心が後ろに偏りすぎている事が原因で発生している事が多い印象を持っています。
重心とは体重が最もかかっている場所の事です。
例えば、ジャンプする前の踏み込んだ時、ジャンプして着地した時、サッカーでボールを蹴る時の軸足、バトミントンや剣道や卓球のように大きく一歩を踏み出す動作などですね。
人間の関節はてこの原理で力を発生させますので、最も力が加わる場所に重心が近ければ近いほど負担は少なく、遠ざかれば遠ざかるほど負担が大きくなります。
そのため、大きく踏み込む動作を行った時に体重が後ろに残ってしまうと膝への負担が大きくなってしまうんですね。
この原因に関しては走る動作と比べて複雑な動作のため、また原因が個人によって大きく異なるため実際に動作や映像を見させていただかないと細かい部分に関しては何とも言えません。
また、体重が重い人の場合は、足を大きく前に踏み出しても体重の影響で後ろに体重が残りやすいという傾向があります。
このように結局はその人の痛い動作やスポーツの内容を詳しく聞かせていただかないと、確実な原因を特定するのは難しい疾患だと言えます。
しかし、多くの場合で走り方か足に体重がのった時の重心の位置が関わっていますので、自分の原因動作の追求に役立てて下さいね。
注意点
実際によくある話なのですが、患者さんが「走り方が原因」と思っていても、実際には違う原因だったという事はよくあります。
例えば、走るのが痛いと来院されたサッカー少年の場合、走り方に大きな問題が無かったのでボールの蹴り方を指導すると走った時の痛みも無くなったなど、こういった事は頻繁にあります。
走り方が原因でジャンパー膝や膝蓋腱炎になる場合は、両膝に痛みが発生する事が多く、もし片方だけにしか発生していないのであれば、走り方が原因じゃない可能性もありますので気をつけて下さいね。
(あくまでも私の経験則ですが)
スポンサーリンク
ジャンパー膝や膝蓋腱炎の治療方法
ここからはジャンパー膝や膝蓋腱炎の治療方法や完治までの治療期間について説明させていただきます。
とは言っても、ここまで説明させていただいた様にジャンパー膝や膝蓋腱炎の原因の多くはスポーツや運動中の動作の中に存在しています。
そのため、ジャンパー膝や膝蓋腱炎の治療で最も大事な部分は動作指導になります。
はっきり言って治療でその場の症状を改善する事はさほど難しくありません。
おそらくこのページを読んでいる人の中にも、治療院での治療直後は楽になった経験がある人も多いと思います。
この疾患を治療するに当たって最も厄介な部分は動作解析と動作指導の2点です。
動作解析とはそのままの意味ですが、患者さんのどの動作が原因になっているのかをまずは特定しなければいけません。
走り方などならほとんど経験と予測だけで答えを出せますが、原因動作に関しては人によって本当にバラバラなので場合によっては苦労します。
その場で見れる動作なら直接見れますが、多くの場合は動画を撮ってもらう事が多いです。
そして原因が特定できれば今度はその指導をしなければいけません。
この部分に関しては単純に患者さん側の努力が必要になります。
慣れ親しんだ動作を変えるという事は口で言うのは簡単ですが、実際は非常に大変な事ですので。。。
ただし、本当にこういった事を追求していけばこの症状は治す事が可能です。
また、太っている事が原因で動作がおかしくなっている人も確かに存在しますが、痩せなくても動作を注意する事ができれば症状は改善します。
(ただし、痩せれるのであれば痩せた方が良い事は間違いありません)
完治までの治療期間に関してですが、この部分は動作分析と動作指導が順調にいくかどうかで大きく異なります。
何ヶ月もお悩みの人であっても、初回から順調に原因動作を発見でき、順調に動作を改善する事ができれば早い人なら1、2回で終わる事も多いです。
(大げさな表現ではありません)
ただし、本当に原因動作は人によって大きく異なりますので、動作分析に時間がかかる場合はその分治療期間や回数が伸びてしまいます。
また、原因動作を特定したとしてもその原因動作を改善する努力は患者さん次第ですので、患者さん側のやる気の問題によっては長引く事も正直に言ってあります。
(あまり患者さんのせいにしたくはありませんが、この疾患は本当に原因動作を変えないと治りませんので)
私の経験則では、だいたい平均して3、4回ぐらいの治療回数という印象です。
いずれにしても、ジャンパー膝や膝蓋腱炎の症状が完治するまでの治療期間は、原因となっている動作を改善できるかどうかで決まります。
もしこのページを読んで参考になったという人は、近くに動作指導をしてくれそうな人を探してみて下さい。
もしどこに相談していいか分からない、どこに行ってもダメだったという人は1度私にお気軽にご相談してくださいね。
ジャンパー膝や膝蓋腱炎の治療にはそれなりに自信を持っていますのできっとお力になれると思います。
以上で「太りすぎ?肥満や体重とジャンパー膝や膝蓋腱炎との関係」のページの説明を終了させていただきますが、下記にジャンパー膝や膝蓋腱炎に関連するページのリンクも載せていますので、興味のある人はそちらも是非参考にして下さいね。
おすすめ記事
スポンサーリンク
ジャンパー膝や膝蓋腱炎に関しての記事
「筋肉や筋力トレーニングはジャンパー膝や膝蓋腱炎に意味はない?」
「膝の外側や内側、裏側が痛む場合はジャンパー膝や膝蓋腱炎ではない?」
「サポーターによる固定はジャンパー膝や膝蓋腱炎に効果はあるのか?」
「MRIは撮るべき?なかなか改善しないジャンパー膝や膝蓋腱炎」
「湿布(シップ)はジャンパー膝や膝蓋腱炎に効果はあるのか?」
「休むと治る?治らない?ジャンパー膝(膝蓋腱炎)は自然治癒する事はあるのか?」
「テーピングによる固定はジャンパー膝や膝蓋腱炎に効果はあるのか?」
「アイシングや冷やす行為はジャンパー膝や膝蓋腱炎に効果はあるのか?」
「ジャンパー膝や膝蓋腱炎が整形外科や整骨院、整体で治らない理由」
「歩行やウォーキングが原因でジャンパー膝や膝蓋腱炎になる事はあるのか?」
「骨盤矯正や骨の歪みやズレはジャンパー膝や膝蓋腱炎にはあまり意味ない?」
「運動不足や運動をしていないのにジャンパー膝や膝蓋腱炎が発生するのは考えにくい」
「痛み止めの薬はジャンパー膝や膝蓋腱炎にとって逆効果になるかも?」
「インソールや足底板はジャンパー膝や膝蓋腱炎に効果はあるのか?」
「自転車やエアロバイクでジャンパー膝や膝蓋腱炎が発生する原因」
「お風呂や入浴で温める事はジャンパー膝や膝蓋腱炎に効果はあるのか?」
「放置して悪化するとジャンパー膝や膝蓋腱炎はどうなるのか?」
「痛くて歩けないほど悪化する事もある?ジャンパー膝や膝蓋腱炎」
「ジャンパー膝や膝蓋腱炎は中学生や高校生に多い?年齢層とは」
「半月板損傷をジャンパー膝や膝蓋腱炎と診断される事もある?」