長引く首や肩の痛みでお悩みの人の中には、病院のレントゲン検査でストレートネックと診断された人も多いと思います。
そういったストレートネックと診断された人の話を聞いていると
「先生、過去に行った治療院で首や肩にテープを貼ってもらったんですがテーピングってストレートネックに有効なんでしょうか?」
といった質問をいただく事があります。
テーピングという行為は治療としても使われる事もあり、また一般の人が予防として行う事も珍しくない事から、テーピングの効果に疑問を感じている人も多いと思います。
そこでこのページでは、ストレートネックの症状に対してテーピングの効果について説明させていただきます。
ちなみに私は医療系の国家資格である柔道整復師という資格を持っている人間です(ここをクリックすると私の柔道整復師免許証の写真が出ます)
医療系の国家資格を持っている人間の端くれとして、出来るだけ丁寧で分かりやすい説明を心がけていますので、こういった事に興味のある人は是非参考にして下さいね。
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テーピングの効果は固定だけではない
一般的にテーピングというのは関節を固定する事を目的に貼る事が多いのですが、ストレートネックなど首の痛みでお悩みの人が固定を目的に貼っている事は珍しいと思います。
テーピングが首の痛みの症状に効果を発揮する理由は「圧刺激」による痛覚の抑制です。
「圧刺激」とはその名の通り、圧力による刺激の事です。
テーピングが貼られている場所には、皮膚に絶えず軽く「何か」で押されているような刺激、もしくは「何か」で覆われているような刺激が入っています。
その影響で痛みを発生しにくくしているんでしょう。
少し難しい話になってしまいますが、人間の「痛み」は体中の神経から情報を脳に集めて作られています。
脳に情報を送る神経には大きく分けて、1群、2群、3群、4群神経と呼ばれる4種類の神経が存在しています。
そして、この4種類の神経は数字が少なければ少ないほど神経の太さが大きく脳に送れる情報量が多く、数字が大きければ大きいほど神経の大きさは細く脳に送れる情報量は少ないという特徴があります。
先ほど説明した「圧刺激」や触覚を脳に伝える神経は、1群、2群神経が関わっていると考えられていますので、脳に送る情報量は非常に大きいんですね。
それに比べて「痛覚」を脳に伝える神経は4群神経が関わっており、脳に伝える情報量はそう大きくないんです。
テーピングを貼っている状態というのは、1群、2群神経である「圧刺激」や触覚の情報を常に脳に送り続けている状態になります。
こういった事で痛みの情報を覆い尽くすほどの他の情報を脳に送る事ができれば、痛みの情報をかき消して痛みを感じにくくする事に繋がる訳ですね。
ちなみに、痛みが発生した時に手でさすると痛みがぼけたり楽に感じる事があると思いますが、これもこのページで説明している内容と同じ理屈です。
痛い場所をさすると、痛みの情報よりも「皮膚に何かが触っている」という情報の方が脳に大量に送られるため、痛みの感覚がぼやけてしまうんです。
簡単に言えば、テーピングを貼っている状態というのは、常に手で患部をさすっているのと同じような効果があるという事です。
首にテーピングを貼っていても、全く首の固定になっていない貼り方でも痛みが軽減する人も多いと思いますが、そういった現象は圧刺激が理由だと思われます。
ただし、どちらかというと「ごまかし」に近い方法だと思いますので、ある程度重症化したストレートネックの症状の場合はあまり効果を感じなかったり、テーピングを貼り続けてかぶれたりするとその影響で炎症が強くなって悪化する可能性もありますので注意して下さい。
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テーピングで首を固定した時の効果
ここからはテーピングによる首の固定について説明させていただきます。
ただ、一般的に膝や足首をテーピングで固定する事はあっても、首をテーピングでガチガチに固定するという事は珍しいと思いますのであまり参考になるかどうかは分かりませんが。。。
首にテーピングをした時の最大のメリットは、動作時に首の動きを抑制する事によって負担を軽減させる事でしょう。
ストレートネックなど、首の痛みが長期間に渡って長続きしている場合、原因は単なる筋肉の緊張だけではなく首の骨の変形や神経圧迫などの組織損傷が大きく関わっていると思います。
こういった組織損傷が関わっている疾患は、その周辺に常に強い炎症が発生しています。
炎症は近くの神経を興奮させ、感覚を過敏にさせる特徴を持っています。
炎症によって感覚が過敏になった首は、少し動かしたりしただけで痛みが発生したり負担を感じやすくなってしまうんです。
テーピングはこういった首の動きを保護して、「動かしにくく」する事によって動きによる負担を減らしてくれる効果があります。
当然、首への負担が少なくなれば組織の回復は早まります。
こういった話をすると
「負担を減らしてくれるんであれば、必ず固定した方が良いんですか?」
という質問が聞こえてきそうですが、必ず固定するべきかについては疑問があります。
先ほども説明させて頂いた様に、首の固定は首の動きを制限して「動かしにくく」する事によって動いた時の負担を減らしています。
逆に言えばテーピングは本来の首の動きを邪魔している訳です。
少し動かしただけでも痛みが発生する様な重症例であれば、テーピングによる固定の効果が高い事も多いかも知れません。
しかし、ある程度改善した首の症状なのであれば、「正常な動きを邪魔する」存在のテーピングは症状の改善を遅らせてしまう事も珍しくありません。
つまり、重症であればテーピングによる固定の効果は高いけども、回復期、もしくは軽症なのであればテーピングによる固定は逆に改善の邪魔になる可能性もあるという事です。
そもそも、少し首を動かしただけで痛みが発生する状態が長期間に渡って続いているのであれば、それは単なるストレートネックというよりもっと厄介な頚椎症や頚椎ヘルニアなどの可能性も高く、固定がそこまで有効だとは思えません。
こういった事からも分かる様に、首のテーピングによる固定は必ずしも有効という訳ではないんですね。
まとめ
ここで簡単にまとめさせていただきますね。
テーピングの効果は主に2つ。
一つ目は首周辺の皮膚に圧刺激を送り続けて痛覚をごまかす。
二つ目は首の動きを固定する事によって首の負担を軽減する。
以上の2点ですね。
首の固定に関してはテーピングなどよりも頚椎カラーなどを使用した方が良いと思いますし、テーピングは首の周りに貼って痛みをごまかすという使い方が一番良い方法だと思います。
ただし、テーピングだけで改善しないストレートネックなど首の痛みもたくさん存在しますので、まずは出来るだけ早く信頼できる病院や治療院に相談して下さい。
もしどこに相談していいか分からない、どこに相談してもダメだったという人は一度私にお気軽にご相談して下さいね。
どこに行っても治らないしつこい首の痛みの治療にはそれなりに自信を持っていますのできっとお力になれると思います。
以上で「ストレートネックにテーピングの効果はあるのか?」のページの説明を終了させていただきますが、下記にストレートネックに関連するページのリンクも載せていますので、興味のある人はそちらも是非参考にして下さいね。
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