腰痛でお悩みの人の話を聞いていると
「先生、私はイスや床に座っていると腰痛が発生して辛いんですが、正座は意外と腰が楽なんです」
といった話をよく聞きます。
こういった人は意外と多く、また正座の姿勢が腰にとって負担が少ない理由も実はちゃんと存在しています。
そこでこのページでは、正座をしている時は腰痛が楽になる理由について説明させていただきます。
ちなみに私は医療系の国家資格である柔道整復師という資格を持っている人間です(ここをクリックすると私の柔道整復師免許証の写真が出ます)
医療系の国家資格を持っている人間の端くれとして、出来るだけ丁寧で分かりやすい説明を心がけていますので、こういった事に興味のある人は是非参考にして下さいね。
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正座が腰にとって楽な理由
最初にまず言い訳をして置きたいのですが、腰痛の痛む条件というのは人によって大きく異なりますので、絶対に正座が腰にとって良いと断言できるものではありません。
人によっては楽に感じる人もいますし、人によっては悪化するという人もおられます。
ただし、比較的に言って正座の姿勢は腰が楽だという人が多いのも事実です。
正座はそもそも腰にとって負担の大きい体勢なのかどうかに関しては解剖学的に説明できます。
大前提として、その人が正座を楽と感じるかしんどいと感じるかが重要ですが、ここからは正座が腰に負担の大きい体勢なのかどうかを解剖学的に説明させて頂きますね。
腰の動きには下肢の関節の動きが密接に関わっています。
その中でも特に関わっているのが股関節の角度です。
座っている時やしゃがんだ時の様に、腰椎(腰の骨)に圧がかかった状態の時は股関節の角度が深ければ深いほど腰椎にかかる負担は大きくなります。
股関節の角度が深くなるというと分かりにくいかもしれませんが、簡単に言えば太ももを上に持ち上げる様な動作です。
椅子に座る動作であれば、低い椅子であればあるほどこの股関節の角度は深くなり負担は大きくなります。
正座の体勢を選択肢に入れているという事は、床での作業を想定していると思われます。
実は床に座っての作業自体が、一般的には腰にとってはあまり良くありません。
個人差はありますが、床に座るよりは椅子に座った方が腰への負担は少なくなりますので、できれば床での作業は避ける様にしてください。
とは言っても、生活環境によってはどうしても床に座って作業をしなければいけない場面もあると思いますので説明させていただきますね。
床での座り方で考えられるのは主に次の3つでしょうか?
正座、あぐら、三角座りの3つですね。
三角座りに関しては床との高さの差がほとんどないため、座った状態で膝を曲げると股関節の角度が窮屈になりすぎてしまい、腰椎への圧が大きくなって負担になります。
三角座りの状態で膝を伸ばして座ると、これはこれで負担が大きい体勢になります。
股関節と膝関節の動きは構造上連動して動きますので、股関節が曲がった時は膝も曲げて筋肉の付着部である骨盤に負担が集中しすぎないようにしています。
床に座って膝を伸ばしている状態というのは、股関節は曲がり、膝は伸びている体勢ですので筋肉の付着部である骨盤に負担が入りやすい体勢になってしまうわけです。
あぐらが楽なのかどうかに関しては、股関節の可動域に依存します。
ただし、もともと股関節が軟らかかったり可動域が広かった人でも、腰痛を発生させると股関節の可動域に支障をきたす事が多く、元々あぐらが楽だった人でも腰痛を発生させてからしんどくなったと言う人が多い印象を持っています。
ここからはいよいよ正座に関しての説明をさせて頂きますね。
(前置きが長くて申し訳ありません)
正座は股関節と同時に膝も大きく曲げているため、実は他の床に座る体勢に比べると楽な体勢である場合が多いです。
「股関節と膝を同時に曲げているという点では三角座りと何が違うの?」
という疑問を持たれる人もいるかも知れませんが、最大の違いはお尻の高さです。
お尻というのは人間の体の中でも最も重たい部分であり、重心の位置などに深く関わる部分になります。
お尻の位置が後ろ、もしくは下方向に下がれば下がるほど股関節の角度は窮屈になる傾向があります。
正座は踵の上にお尻をのせる座り方です。
三角座りに比べると、足の高さ分お尻の位置が高くなり、その影響で股関節への圧は分散します。
その結果、腰にとっては実は案外楽な体勢でもあります。
床で座る事自体に賛成できませんが、実は床での他の座り方と比べると正座が一番楽だと言う人は少なくありません。
しかし、正座は重心の位置を変化させにくい座り方であり、どんなに楽であったとしても長時間同じ圧力を腰にかけてしまうと腰痛の悪化を促してしまいます。
そのため、たとえ正座が楽だったとしても長時間同じ体勢をとらないように気をつけて下さいね。
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正座のリスク
腰痛でお悩みの人にとって正座が楽だという人は一定数存在します。
また正座という体勢は、解剖学的に見ても腰にとっては負担が比較的少ない座り方でもあります。
しかし腰にとって比較的マシな体勢ではありますが、膝にとっては最悪です。
正座のリスクはなんと言ってもこの膝への負担です。
腰にとって他に楽な体勢がないのであれば正座を反対はしませんが、もし可能なのであれば膝の事も考えてやはり椅子に座る様に心がけて下さいね。
まとめ
ここで簡単にまとめさせていただきます。
卑怯な言い方になりますが、腰痛の人によって正座が楽なのかどうかは異なります。
解剖学的に考えて正座という体勢は、腰痛の人にとって比較的楽である可能性は高く、実際に正座が楽な人も多い傾向があります。
しかし正座という体勢は、腰痛にとっては楽であっても膝にとっては非常に負担の大きい体勢でもあります。
そのためもしイスなどに座れる生活環境なのであれば、イスに座る事をオススメします。
もしイスに座るよりも正座の方が腰痛の症状が楽なのであれば、正座という体勢を否定するつもりはありません。
その場合は正座でも結構ですが、膝にとっては負担が大きいという事は頭の片隅に置いておいて下さいね。
また、そもそも座っている時の痛みがなかなか引かない時は、出来るだけ早く信頼出来る病院や治療院に相談するように心がけて下さい。
どこに相談して良いか分からない、どこに行ってもダメだったという人は、一度遠慮なく私にご相談してくださいね。
どこに行っても治らないしつこい腰痛の治療にはそれなりに自信を持っていますのできっとお力になれると思います。
以上で「正座をしている時は腰痛が楽になる理由」のページを終了させて頂きますが、下記に腰痛に関連するページのリンクも載せていますので、興味のある人はそちらも是非参考にして下さいね。
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