腰痛でお悩みの人の話を聞いていると
「先生、私は仰向けで寝ると腰が浮いている感じがして痛いので横向きで寝ているんですが、これって反り腰っていうものなんでしょうか?」
といった質問をよくいただきます。
反り腰という名称を最近私もよく聞く事があるのですが、はっきり言って反り腰という医学的な名称は存在しません。
こういった仰向けに寝た時に腰が浮いた感じがして痛みが発生するのは、他の病気の可能性もあります。
そこでこのページでは、仰向けで寝るのが痛い腰痛の正体について説明させていただきます。
ちなみに私は医療系の国家資格である柔道整復師という資格を持っている人間です(ここをクリックすると私の柔道整復師免許証の写真が出ます)
医療系の国家資格を持っている人間の端くれとして、出来るだけ丁寧で分かりやすい説明を心がけていますので、こういった事に興味のある人は是非参考にして下さいね。
スポンサーリンク
寝ているだけで腰痛が発生する理由
まず寝ているだけで何故痛みが発生するのか?
その理由は腰周辺に発生する強い炎症が原因です。
炎症が発生すると、近くの神経を興奮させ感覚を過敏にさせる特徴を持っています。
神経の感覚が過敏になるという事は、弱い動作や少しの負担でも痛みを感じやすくなってしまうという事ですね。
当然、炎症が強ければ強いほどこの感覚の過敏性は強くなります。
通常であれば寝ている時というのは体にとって負担の大きい動作ではありません。
しかし、炎症が強くなって感覚の過敏性が強くなってしまうと、「寝ているだけ」の体勢から発生する腰へのわずかな圧力だけで痛みを感じるようになってしまうんです。
反り腰=必ず仰向けが痛いという訳でもない
また、仰向けで寝ている時に痛いのは反り腰が原因という話をよく聞きます。
(冒頭でも説明したように反り腰という医学的名称は存在しませんが、仰向けで寝た時に腰が浮くような人の事をこのページでは反り腰と呼ばせてもらいます)
確かに仰向けで寝た時に腰が浮く事によって痛みが発生している人はおられます。
しかし、こういった反り腰のような状態でも痛みを感じていない人も実はそう珍しくありません。
先ほども説明したように、寝ている姿勢というのは本来であればそう大きい負担は体には加わりません。
この事は反り腰のように仰向けで寝た時に腰が浮いた感覚を感じる人も同様です。
寝ている姿勢によるわずかな負担で痛みを感じるのは、強い炎症のせいですので逆に言えば炎症が強くなければ痛みを感じない反り腰の人も決して少なくないんです。
寝ている姿勢で痛みが発生するのは腰椎椎間板ヘルニアなど坐骨神経痛が関わっている可能性が高い
上記では、寝ている時に痛みが発生するのは腰周辺に発生している強い炎症のせいという説明をさせていただきました。
この炎症が強く発生していないのであれば、仮に反り腰のような特徴を持っていても痛みをあまり感じない事は珍しくありません。
では何故強い炎症が発生しているんでしょうか?
炎症というのは、体の組織が破壊された時に発生する物質です。
体の組織の破壊と説明すると少し大げさに聞こえるかもしれませんが、筋肉に負担をかけて発生する筋肉痛であっても、ミクロの世界では筋繊維などの組織の破壊は関わっています。
ただし、もし炎症の発生の原因が単なる筋肉などへの負担なんであれば、症状がそう長続きする事はありません。
筋肉は体の組織の中でも比較的回復力が高い組織ですので、仮に破壊されたとしても軽い筋肉痛であれば数日、肉離れのように完全に筋繊維が断裂するような大怪我であっても1ヶ月程で大まかな修復は完了し炎症も治まるはずです。
つまり、もし夜寝ている時の腰痛が何週間も継続して発生しているのであれば、その原因は単なる筋肉ではなく別の場所に何らかの組織損傷が関わっている可能性が高いという事になります。
こういった寝ている時の腰痛を発生させ、尚且つ組織の損傷や変形が大きく関わっている疾患で最も可能性が高いのは腰椎椎間板ヘルニアなど坐骨神経痛だと思います。
腰椎椎間板ヘルニアなど坐骨神経痛とは、腰の骨や軟骨が変形する事によって近くの神経を圧迫し、その神経が支配している領域に痛みや痺れなどの症状を発生させる疾患です。
軽症から重症例までの症状がかなり幅広く、重症であれば夜も疼いて寝れない、足も動かせないなどの症状を発生させる事もありますが、軽症であれば筋肉痛に似た痛みや筋肉の張り感だけを腰に感じる場合もあります。
腰椎椎間板ヘルニアなど坐骨神経痛で発生している腰痛の症状の場合、腰の骨の変形部分には常に強い炎症が発生しています。
そのため、炎症の特徴による寝ている時の腰痛が発生しやすい疾患でもあるんですね。
仰向けで寝ているのが辛いのは反り腰と考えている人は非常に多いと思いますが、反り腰のような特徴を持っていても、炎症が強くなければ痛くないという人は大勢おられますので、もし仰向けで痛みが発生しているのであれば腰椎椎間板ヘルニアなどを疑ってみて下さいね。
スポンサーリンク
仰向け、横向き、寝る体勢に正解はない
上記では、寝ている時の痛みは反り腰が原因というより腰椎の問題を疑うべきという説明をさせていただきました。
ちなみに仰向けで寝るのが痛いのか?横向きで寝る方が痛いのか?もしくはその両方か?
どの体勢で痛いのかは人によって大きな個人差があります。
先ほども説明させていただいた様に、腰椎椎間板ヘルニアなど坐骨神経痛は腰椎(腰の骨)での神経の圧迫によって発生します。
その腰椎のどの部分を圧迫しているのか?
もしくは神経を圧迫している角度によって痛む条件は大きく異なります。
仰向きの状態が最も痛いのであれば、仰向きで腰に圧が最もかかる場所に神経の圧迫があるのでしょう。
同様に、横向きの状態が最も痛いのであれば、横向きで腰に圧が最もかかる場所に神経の圧迫があるのだと思います。
どういった体勢であれ、あなたが「痛い」と感じる体勢はあなたにとって神経の圧迫に関わる動きや体勢と言えますので、可能なのであれば出来るだけ控えるようにして下さい。
極端な話ですが、あなたが楽だと感じる体勢があるのであればその体勢があなたにとっての正解です。
解剖学的に考えればうつ伏せの体勢は腰にとっては負担の大きい体勢と言えます。
しかし、そういったうつ伏せの体勢が楽に感じる患者さんも一定数おられますし、そういった人の場合はうつ伏せで治療をした方が経過が良い事も多いんです。
どういった体勢であってもご自分にとって楽な体勢が存在するのであれば、仰向きでも横向きでもどんな体勢でもかまいませんので出来るだけその体勢で安静に過ごして下さいね。
安静にする事で症状が軽減する事は珍しくありませんので。
まとめ
ここで簡単にまとめさせていただきますね。
夜寝ているだけで痛みが発生してしまうのは、腰椎に発生している強い炎症が原因です。
炎症反応が強くなると、感覚が過敏になってしまい少しの動作でも大きい負担を感じてしまいます。
その結果、寝ているだけのわずかな腰への圧力で症状が悪化してしまうんです。
(必ずしも反り腰が原因という訳ではありません)
また、寝ている時に仰向きが良いのか?横向きで寝るのが良いのか?の質問に正解は存在しません。
その人の神経の圧迫の仕方によって楽な体勢は大きく変化します。
大雑把なアドバイスになりますが、あなたが楽だと感じる体勢があなたにとっての正解です。
そしてもう一つ重要な事があります。
寝ているだけで腰の症状を発生してしまうという事は、それだけ炎症が強い重症の可能性が高いんです。
また、とことんまで症状が重症化してしまうと、そもそも楽な体勢そのものが存在しなくなってしまいます。
こういった症状が発生してしまった場合、最悪の場合は手術も選択肢に入れなければいけない状態ですので、もし信頼できる病院や治療院がありましたら出来るだけ早く相談する様に心がけて下さい。
もしどこに相談していいか分からない、どこに行ってもダメだったという人は1度私にお気軽にご相談してくださいね。
どこに行っても治らないしつこい腰痛や、腰椎から発生している症状の治療にはそれなりに自信を持っていますのできっとお力になれると思います。
以上で「仰向けで寝るのが辛い腰痛は反り腰?横向きは?」のページの説明を終了させていただきますが、下記に腰痛に関連するページのリンクも載せていますので、興味のある人はそちらも是非参考にして下さいね。
おすすめ記事
スポンサーリンク
腰痛に関しての記事
「腰痛の症状別重症、危険度チェック。筋肉痛とヘルニアとの見分け方や違いは?」
「シップやサロンパスなど貼り薬は腰痛に効果的か?冷と温どちらがオススメ?」
「腰痛に自転車やエアロバイクはおすすめ?サドルの位置や高さについて」
「固定するべき?腰痛にサポーターやコルセット、骨盤ベルトについて」
「レントゲン、MRIなどの画像検査で異常なしと診断された腰痛の原因とは?」
「腰痛の人が日常生活で気をつける事、してはいけない事などの注意点」
「腰痛を強く押したり揉むと揉み返しが発生して悪化する可能性あり」
「低気圧や雨の日など天気や気圧の変化によって腰痛が悪化する原因」
「腰痛に腹筋や体幹トレーニングなど筋肉を鍛える行為は意味がない!?」
「精神的ストレス、思い込みや気のせいによって腰痛が発生する事はある?」
「お風呂や温泉などの入浴は腰痛に有効なのか?悪化する可能性もあり」
「冬、夏、梅雨時期など季節の変わり目で腰痛が悪化しやすい理由」
「びっこを引いて歩けないほど痛い、歩行困難になる腰痛でも歩くべきか!?」
「寝返り時に腰痛が悪化する場合の注意点や痛みが発生しにくい寝返り方」
「腰痛と同時にふくらはぎやスネに痛みや痺れや違和感が発生した時は注意」
「腰痛の原因に心当たりがない人は悪いクセが関わっている事が多い」
「腰痛と同時にお尻や股関節、足の付け根(鼠径部)に痛みや痺れが発生した時は注意」
「猫背が必ずしも悪いとは限らない?腰痛と正しい姿勢について」
「腰痛と同時に踵やアキレス腱、足裏や土踏まずの痛み痺れが発生した時は注意」
「腰痛の症状がひどい時の美容院や歯医者は悪化する可能性があるので注意」
「歩いていて頻繁につまずいたりつま先立ちが出来ない腰痛は注意」
「腰痛に似た症状を発生させる違う病気や疑われる病気について」
「夜中に寝れない眠れないほどの夜間痛を発生させる腰痛の正体」
「整形外科など病院でリハビリとして行われる牽引は腰痛に効果なし?」
「腰痛持ちの人が座る椅子(イス)の理想的なおすすめの高さとは」
「なかなか治らない腰痛を放置するとどうなるのか?その後の経過」
「腰痛にバキバキボキボキ鳴らす整体やカイロ、骨盤矯正は危険」
「腰痛で背骨や脊椎、椎間板や軟骨の間隔が狭いと診断された場合の注意点」
「腰痛と同時に顔の痛みや痺れ、目の疲れや歯痛を感じる事もある?」
「スポーツジムなどで行うウェイトトレーニングは腰痛を悪化させる可能性あり」
「冷やしたりアイシングは腰痛に効果あり?おすすめの時間とは」
「掃除機をかけると腰が痛い。腰痛が悪化しにくい掃除機のかけ方」
「チクチク、ビリビリ、ズキズキ、ジンジンするような腰痛は要注意」
「腰痛と同時にあばらや肋骨、わき腹にも痛みが発生した時は注意」
「産後、子育てや育児中の女性の腰痛は改善しにくい理由と抱っこについて」
「電車に立っている時や座っている時に腰痛が発生する人の注意点」
腰椎椎間板ヘルニアなど坐骨神経痛に関しての記事
「腰椎椎間板ヘルニアや坐骨神経痛を治す、緩和、改善できる治療院選びのポイント」
「椎間板ヘルニア、坐骨神経痛と筋肉痛の症状の違い、診断チェックに使える3つの症状」
「腰椎椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、腰痛や坐骨神経痛の原因」
「腰椎椎間板ヘルニア、坐骨神経痛のマッサージによる悪化、揉み返し(もみかえし)の危険性」
「腰椎椎間板ヘルニア、坐骨神経痛のストレッチ体操後の痛み、悪化」
「腰椎椎間板ヘルニア、坐骨神経痛でも腰は痛くない、腰痛を感じない症状」
「坐骨神経痛の疑いでもレントゲンやMRIで異常なしと診断された」
「腰椎椎間板ヘルニアや坐骨神経痛の夜の痛みに楽な寝方や姿勢」
「腰椎椎間板ヘルニア、坐骨神経痛や腰痛におすすめのマットレス」
「再発を繰り返す腰椎椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、坐骨神経痛」
「腰椎椎間板ヘルニアや坐骨神経痛の痛む場所が移動したり変化する事」
「腰椎椎間板ヘルニア、坐骨神経痛が悪化、重症化する前兆症状」
「腰痛や坐骨神経痛と頻尿(トイレが近い)、尿漏れ、便秘、排尿障害、生理不順などの症状との関連性」
「腰椎椎間板ヘルニア、坐骨神経痛はお風呂に入って温めるべき?」
「腰椎椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、坐骨神経痛と運動後の悪化について」
「腰椎椎間板ヘルニアや坐骨神経痛の人が気をつける事、悪い姿勢」
「腰椎椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、腰椎分離すべり症の症状の違いと特徴」
「坐骨神経痛や腰、背中の痛みと内臓の病気やガンとの関連について」
「脊柱管狭窄症、腰椎椎間板ヘルニア、坐骨神経痛が安静にする事の重要性」
「腰椎椎間板ヘルニア、坐骨神経痛にサポーターやコルセットの効果」
「お酒、アルコールと腰椎椎間板ヘルニアや坐骨神経痛との関係」
「腰椎椎間板ヘルニア、坐骨神経痛、腰の牽引効果、悪化する危険性」
「湿布(シップ)は腰椎椎間板ヘルニア、坐骨神経痛に効果があるのか?」
「腰椎椎間板ヘルニア、坐骨神経痛が雨や天気によって悪化する可能性」
「電気治療は腰椎椎間板ヘルニア、坐骨神経痛に効果はあるのか?」
「寒い日や気温差によって悪化する腰椎椎間板ヘルニア、坐骨神経痛」
「ソファーや座椅子で腰椎椎間板ヘルニア、坐骨神経痛が悪化する理由」
「腰椎椎間板ヘルニア、坐骨神経痛が朝方や朝起きる時に痛い理由」
「腰椎椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症や坐骨神経痛の人が痛み止めを常用するリスク」
「歩けないほど痛い腰椎椎間板ヘルニアや坐骨神経痛の人は無理して歩くべきか?」
「うつ伏せが楽だと感じる腰椎椎間板ヘルニア、坐骨神経痛の人の注意点」
「腰椎椎間板ヘルニア、坐骨神経痛に骨盤矯正は悪化する危険性があります。」
「鬱(うつ)やストレスと腰椎椎間板ヘルニア、坐骨神経痛との関係」
「腰椎椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、坐骨神経痛は完治するのか?」
「車の運転中に悪化する腰椎椎間板ヘルニア、坐骨神経痛の対処法」
「放置や我慢をしていると危ない腰椎椎間板ヘルニア、坐骨神経痛」
「癖になるギックリ腰と腰椎椎間板ヘルニア、坐骨神経痛との関係」
「針治療は腰椎椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、坐骨神経痛に効果はあるのか?」
「腰椎椎間板ヘルニア、坐骨神経痛のケアやメンテナンスの重要性」
「筋力低下、足に力が入らなくなる腰椎椎間板ヘルニア、坐骨神経痛」
「正座は楽?悪化する?腰椎椎間板ヘルニアや坐骨神経痛の正座について」
「運動不足は腰椎椎間板ヘルニアや坐骨神経痛に関係するのか?」
「ロキソニン、ボルタレンが効かない腰椎椎間板ヘルニアや坐骨神経痛」
「ヨガやピラティスで悪化する可能性がある腰椎椎間板ヘルニア、坐骨神経痛」
「腰椎椎間板ヘルニア、坐骨神経痛の人がデスクワークで気をつける事」