脊柱管狭窄症の症状でお悩みの人の話を聞いていると
「先生、私は歩いていると症状が強くなるんですが、脊柱管狭窄症の人にとって負担の少ない靴とかってあるんでしょうか?」
といった質問をよくいただきます。
そこでこのページでは、脊柱管狭窄症の人の靴選びについて説明させていただきますね。
ちなみに私は医療系の国家資格である柔道整復師という資格を持っている人間です(ここをクリックすると私の柔道整復師免許証の写真が出ます)
医療系の国家資格を持っている人間の端くれとして、出来るだけ丁寧で分かりやすい説明を心がけていますので、こういった事に興味のある人は是非参考にして下さいね。
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体に負担の少ない靴は足を上げやすいかどうかが大切
ご存知の人も多いと思いますが、脊柱管狭窄症とは神経が通っている脊柱管の変形によって中の神経を圧迫してしまい発生する疾患です。
人によって脊柱管狭窄症が発生している部位は異なりますが、腰周辺に発生している人が多い事から腰の関節への負担が大きければ大きいほど重症になりやすいという傾向があります。
つまり、歩いている時に腰への負担が大きければ大きいほど脊柱管狭窄症の症状は悪化しやすくなるという事になります。
そこでまずはどういった歩き方が腰に負担になるかを簡単に説明させていただきますね。
歩くという行為は、股関節、膝、足首の関節が連動して動きます。
関節の役割というのは足が地面に着地した時に、適度に動く(曲がる)事によって地面からの衝撃を吸収して負担を軽減してくれます。
衝撃を和らげてくれるクッション、もしくはバネみたいなモノを想像してもらえると分かりやすいかも知れません。
当然、足が着地した時に膝が伸びきっていたりすれば、関節のバネの機能がうまく働かない為、腰に大きい負担が入ってしまいます。
つまり、腰に負担の少ない正しい歩き方というのは、足が地面に着地した時に適度に股関節や膝や足首が曲がって地面からの衝撃を吸収してくれる事が望ましい訳ですね。
とは言っても、いちいち足が地面に着地する時に膝などの関節を適度に曲げる事を意識する事は不可能です。
そこで大切なのが、歩行時にしっかりと足が上がっているかどうかなんです。
歩行というのは力を抜いて膝や太ももが少し上方に上げる歩き方がしっかり出来ていれば、勝手に脳が無意識に最適な位置に体重や関節の角度を調節してくれるように出来ています。
歩く時にしっかり足が持ち上がっていれば、地面に足が着地した時に適度に膝などの関節が曲がって衝撃を吸収するような歩き方になってくれるんですね。
逆に、足があまり上がらずに膝が伸びきった状態で地面に着地してしまうと、地面からの衝撃を吸収しきれず腰への負担が大きくなってしまいます。
つまり、脊柱管狭窄症の症状を悪化させない為の靴選びで大切な事は、履く事によって足を上げやすいかどうかが非常に重要になります。
ハイヒールやスリッパやサンダルは歩行時に足が上がりにくくなる
上記では、体に負担のかかりにくい歩き方には、しっかりと足が上方に上げれる事が大切だという事を説明させていただきました。
つまり、脊柱管狭窄症の症状が発生しやすい靴というのは、この足を上げる動作の邪魔になりやすい靴になります。
見出しでも触れていますが、ハイヒールや踵を固定していないスリッパやサンダルの場合は腰にとっては負担が大きくなりやすい傾向があります。
ハイヒールに関しては、踵が高くなってしまう事によって重心(体重が最もかかる場所)がつま先に近くなってしまいます。
実は重心の位置がつま先に集中すればするほど、足は上に上がりにくくなる傾向があり、またつま先に極端に体重が集中すると足首が曲がる動作の邪魔にもなります。
足首の動きは膝の動きや股関節の動きとも連動していますので、足首が曲がりにくくなると膝や股関節も曲がりにくくなります。
つまり、ハイヒールで歩いた時というのは、地面に足が着地した時に衝撃を吸収しにくい傾向が高く、その結果腰への負担は大きくなります。
また、スリッパやサンダルといった踵をしっかりと固定していない靴の場合も、腰への負担が大きくなる傾向があります。
スリッパやサンダルのように、しっかり踵を固定していない靴の場合、足を上げた時に靴が足から滑り落ちたりずれたりする事を防ぐ為に、無意識に履いている人の多くはつま先を上に反らしながら足を上げています。
実はこのつま先を上に反らす動作は、膝を伸ばす動きを誘発してしまう動作でもあります。
歩行時にしっかり足を上方に上げる為には、膝は軽く曲がっていなければいけず、スリッパやサンダルを履いていると膝が伸びやすい歩き方になってしまう為に足は上がりにくくなってしまいます。
そのため、地面に足が着地した時点で膝は曲がりにくく、その結果地面からの衝撃を吸収しきれず腰への負担が大きくなってしまうんですね。
以上の事から、ハイヒールやスリッパやサンダルは腰への負担が大きくなる傾向があり、その結果、脊柱管狭窄症の症状を発生させやすく長時間歩く時にはあまりオススメできません。
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底が平べったい靴も体への負担は大きい
上記では、足が上がりにくくなるために体への負担が大きくなる靴について説明させていただきました。
ここからは単純に、靴底の底のクッションが少なすぎて体への負担が大きくなる靴について説明させていただきます。
とは言っても話は単純です。
革靴などのように、靴底のクッション性が低い靴の場合は、地面からの衝撃が強くなってしまうため、いくら正しく歩いていても長時間の歩行には向いていません。
やはり通常の運動靴のように、脊柱管狭窄症の人はある程度靴底にクッション性がある靴を選ぶべきでしょう。
靴には相性の部分も大きい
ここまでは、脊柱管狭窄症の悪化の原因になりやすい靴の説明をさせていただきました。
しかし、ここまでの説明をひっくり返すような発言になってしまいますが、そもそも靴というのはそれを履く人との相性が大きく関わっています。
このページではハイヒールは負担になりやすいという説明をさせていただきましたが、中にはハイヒールだけが唯一楽に歩ける靴だという人もおられます。
そういった人の歩き方を見ていると極端に後ろに重心を乗せて歩く特徴があり、ハイヒールを履いた時だけまともに歩けるという事のようです。
このようにその人によって違う動作上のクセによっても、楽な靴というのは変わってきますので、結局は気になった靴があれば履いてもらって楽かどうかを判断しなければ分からないというのが私の本音になります。
まとめ
ここで簡単にまとめさせていただきますね。
長時間歩くと脊柱管狭窄症の症状を発生させやすい靴は、ハイヒールやスリッパやサンダル、もしくは革靴のように靴底のクッション性が低い靴となります。
しかし、このページで説明させていただいた内容はあくまで傾向であり絶対ではありません。
靴選びに関しては、その人によっての相性も大きく関わる為、結局は履いてみないと分からないというのが私の本音です。
何だかはっきりしない説明になってしまいましたが、靴選びに迷っている人は是非参考にして下さいね。
また、そもそも脊柱管狭窄症の症状が重症化している場合は、運動神経の圧迫による運動障害が発生している事も珍しくありません。
この場合は、どんなに足を上げようとしても足が上がりにくかったり、足を上げようとすると痛みが強くなるという人が多く、そもそも正しい歩き方を行う事自体が困難な場合が多いと思います。
そういった重症例の人の場合は靴を変えたとしても効果は限定的だと思いますので気をつけてくださいね。
もしどこに相談していいか分からない、どこに相談してもダメだったという人は一度私にお気軽にご相談して下さいね。
症状によっては限界もありますが、私は脊柱管狭窄症の治療をそれなりに得意にしていますので。
以上で「脊柱管狭窄症の人の靴選びについて」のページの説明を終了させていただきますが、下記に脊柱管狭窄症に関連するページのリンクも載せていますので、興味のある人はそちらも是非参考にして下さいね。
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