変形性膝関節症など膝の痛みでお悩みの人の話を聞いていると
「先生、膝をテーピングで固定するのは症状を改善するのに効果はあるんでしょうか?」
といった質問を稀にいただきます。
スポーツをしている人の中には膝をテーピングしている人もたくさんおられると思いますが、いわゆる一般の人でも行う意味はあるのか?という質問ですね。
そこでこのページでは、変形性膝関節症など膝の痛みにテーピングで固定する事は効果があるのかどうかについて説明させていただきます。
ちなみに私は医療系の国家資格である柔道整復師という資格を持っている人間です(ここをクリックすると私の柔道整復師免許証の写真が出ます)
医療系の国家資格を持っている人間の端くれとして、出来るだけ丁寧で分かりやすい説明を心がけていますので、こういった事に興味のある人は是非参考にして下さいね。
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テーピングで膝を固定した時の効果
膝にテーピングをした時の最大のメリットは、動作時に膝の動きを抑制する事によって負担を軽減させる事でしょう。
変形性膝関節症など、膝の痛みが長期間に渡って長続きしている場合、原因は単なる筋肉の緊張だけではなく半月板や軟骨の損傷などが関わっています。
こういった組織損傷が関わっている疾患は、その周辺に常に強い炎症が発生しています。
炎症は近くの神経を興奮させ、感覚を過敏にさせる特徴を持っています。
炎症によって感覚が過敏になった膝は、少し動かしたりしただけで痛みが発生したり負担を感じやすくなってしまうんです。
テーピングはこういった膝の動きを保護して、「動かしにくく」する事によって動きによる負担を減らしてくれる効果があります。
当然、膝への負担が少なくなれば組織の回復は早まります。
こういった話をすると
「負担を減らしてくれるんであれば、必ず固定した方が良いんですか?」
という質問が聞こえてきそうですが、必ず固定するべきかについては疑問があります。
先ほども説明させて頂いた様に、膝のテーピングは膝の動きを制限して「動かしにくく」する事によって動いた時の負担を減らしています。
逆に言えばテーピングは本来の膝の動きを邪魔している訳です。
少し動かしただけでも痛みが発生する様な重症例であれば、テーピングによる固定の効果が高い事も多いと思います。
しかし、ある程度改善した膝の症状なのであれば、「正常な動きを邪魔する」存在のテーピングは症状の改善を遅らせてしまう事も珍しくありません。
つまり、重症であればテーピングによる固定の効果は高いけども、回復期、もしくは軽症なのであればテーピングによる固定は逆に改善の邪魔になる可能性もあるという事です。
実際に私の患者さんでも、膝のテーピングによる固定をはずした方がスムーズに歩ける様になって痛みも軽減した人は何人もおられます。
こういった事からも分かる様に、膝のテーピングによる固定は必ずしも有効という訳ではないんですね。
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テーピングの効果は固定だけではない
さて、上記ではテーピングの固定による効果について説明させていただきました。
しかし、テーピングには固定以外にも痛みを改善する良い効果があるともう一つあると私は考えています。
テーピングが膝の痛みの症状に効果を発揮するもう一つの理由は「圧刺激」による痛覚の抑制です。
「圧刺激」とはその名の通り、圧力による刺激の事です。
テーピングが貼られている場所には、皮膚に絶えず軽く「何か」で押されているような刺激、もしくは「何か」で覆われているような刺激が入っています。
その影響で痛みを発生しにくくしているんでしょう。
少し難しい話になってしまいますが、人間の「痛み」は体中の神経から情報を脳に集めて作られています。
脳に情報を送る神経には大きく分けて、1群、2群、3群、4群神経と呼ばれる4種類の神経が存在しています。
そして、この4種類の神経は数字が少なければ少ないほど神経の太さが大きく脳に送れる情報量が多く、数字が大きければ大きいほど神経の大きさは細く脳に送れる情報量は少ないという特徴があります。
先ほど説明した「圧刺激」や触覚を脳に伝える神経は、1群、2群神経が関わっていると考えられていますので、脳に送る情報量は非常に大きいんですね。
それに比べて「痛覚」を脳に伝える神経は4群神経が関わっており、脳に伝える情報量はそう大きくないんです。
テーピングを貼っている状態というのは、1群、2群神経である「圧刺激」や触覚の情報を常に脳に送り続けている状態になります。
こういった事で痛みの情報を覆い尽くすほどの他の情報を脳に送る事ができれば、痛みの情報をかき消して痛みを感じにくくする事に繋がる訳ですね。
ちなみに、痛みが発生した時に手でさすると痛みがぼけたり楽に感じる事があると思いますが、これもこのページで説明している内容と同じ理屈です。
痛い場所をさすると、痛みの情報よりも「皮膚に何かが触っている」という情報の方が脳に大量に送られるため、痛みの感覚がぼやけてしまうんです。
簡単に言えば、テーピングを貼っている状態というのは、常に手で患部をさすっているのと同じような効果があるという事です。
膝にテーピングを貼っていても、全く膝の固定になっていない貼り方でも痛みが軽減する人も多いと思いますが、そういった現象は圧刺激が理由だと思われます。
まとめ
ここで簡単にまとめさせていただきますね。
テーピングの効果は主に2つ。
一つは膝の動きを固定する事によって膝の負担を軽減する。
2つ目は膝周辺の皮膚に圧刺激を送り続けて痛覚をごまかす。
以上の2点ですね。
固定に関しては重症例であれば非常に有効に働きますが、軽症や回復期になると逆効果になる事もありますので、まともに歩けないような重症例の時はガチガチに固定して、ある程度動けるようになったら固定というよりテーピングを膝の周りに貼って痛みをごまかすという使い方が一番良い方法だと思います。
ただし、テーピングだけで改善しない変形性膝関節症など膝の痛みもたくさん存在しますので、まずは出来るだけ早く信頼できる病院や治療院に相談して下さい。
もしどこに相談していいか分からない、どこに相談してもダメだったという人は一度私にお気軽にご相談して下さいね。
私は変形性膝関節症など膝の症状の治療にはそれなりに自信を持っていますのできっとお力になれると思います。
以上で「変形性膝関節症など膝の痛みにテーピングで固定する効果について」のページの説明を終了させていただきますが、下記に膝の痛みに関連するページのリンクも載せていますので興味のある人はそちらも是非参考にして下さいね。
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